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森中での作戦会議

 



「隊長、虫ですか?」


翌朝。
顔の回りを手の平で熱心に払うタカヒトにリセルが言った。


「お前には見えてないのか・・・なんでもない。出陣の用意はどうだ」
「間もなく。」
「よし、最終確認をするぞ。」


リセルが各部所の長を呼ぶ。
テントの外に置かれた簡易机に主要人物が集まり、僧侶は欠伸しながらやって来た。


「おはよーさん。」
「おはようございますサキョウ様。」
「おや、今朝も相変わらずモテモテやねタカヒトはん。数増えてますやん。」
「・・・」


タカヒトの回りにいる5体の精霊が見えてないリセルが首を傾げ、精霊召喚士長のバッサムは悔しさ半分羨ましさ半分で隊長を見ていた。
精霊を無視して、タカヒトは咳ばらいを一つ落とす。


「皆、計画は頭に入ってると思うが、段取りを口頭確認する。まず兵士を半分にわけ森のすぐ隣にあるバシュデラの陣を左右から挟む。きっとやつらは魔法防壁を張って反撃出来ない隙に悪魔共を放つだろう。」
「我々ウィザードは光魔法を中心に塞き止めましょう。」
「仲間の守りはわいに任せときぃ。」


サキョウに頷いてみせ、テーブルの上に手を置いた。


「奴らの目を引き付けてる間に俺は媒体破壊へ向かう。バッサム、光属性の精霊は。」
「はい、大丈夫です。」
「精霊の力と俺のマヤーナの守りで防壁を緩和、侵入。媒体破壊次第バシュデラを殲滅。俺との連絡は不可能だ。自己判断で頼むぞリセル。」
「心得ております。」
「ああ、そうだ。サキョウ様、確か僧侶の術に移し身というのがあったはずですが。」
「ありますえ~。」
「森を出る前に俺の写しを馬に座らせておいて頂きたい。隊長不在では怪しまれますから」
「はいよ~。」


作戦の成功をマヤーナに祈り、散会した。
兵士達はリセルやサキョウと共に森の出口に向かって進軍を始めた。
たった一人残ったタカヒトは愛馬に跨り、顔回りにいる精霊に視線を向けた。


「これから森の側で戦いがあるんだ。もちろん森に危害は加えないが、荒々しい戦場はお前達には毒だろ。此処でお別れだ。」


精霊達はお互い顔を見合わせ顔を曇らせた。


「神官様によろしく伝えてくれ。大人数で押し掛けて申し訳なかったと。さあ、帰りなさい。」


タカヒトになだめるように言われ、彼女達は頷いて、タカヒトの顔にキスをしてから何処かに飛びたった。
愛馬の鬣を撫でてから、兵達が別れた道の丁度真ん中へゆっくりと進む。
森の出口もそろそろ、と思われた時、爆発音が聞こえた。金切り声のように耳障りな鳴き声も届く。
戦いが始まったのだ。

 

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